「呼吸が浅くなっている」
近年、そう指摘されることが増えました。
けれど、私たちの身体そのものが変わったわけではありません。
変わったのは、一日の過ごし方のほうです。
座りつづける、という姿勢
デスクワークが中心の働き方では、一日の大半を椅子に座ったまま過ごすことになります。
画面をのぞき込むうちに、頭は前へ出て、背中は丸まっていく。
この姿勢では胸まわりが縮こまり、肺がふくらむための空間が狭くなります。
呼吸をするとき、本来なら横隔膜が上下に大きく動きます。
けれど前かがみの姿勢では、その動きが制限されてしまいます。
結果として、胸のあたりだけを使った浅い呼吸になっていきます。
緊張が抜けない時間
姿勢だけではありません。
意識の状態も、呼吸に表れます。
締め切りに追われているとき。
集中して画面に向かっているとき。
通知が次々に届くとき。
そうした場面では交感神経が優位になり、呼吸は速く浅くなります。
ときには数秒間、息を止めていることさえあります。
問題は、その状態が一日中続いている事が多い生活をしている事です。
本来は一時的なはずの緊張モードが、いつのまにか標準になってしまう。
空気そのものの問題
もうひとつ見落とされがちなのが、過ごしている空間の空気です。
気密性の高い建物、閉め切った会議室、人の多いオフィス。
換気が足りない場所では、二酸化炭素の濃度が少しずつ上がっていきます。
午後の会議で眠気が強くなる。
頭がぼんやりして、判断が鈍く感じる。
その背景に、部屋の空気の状態が影響している事も少なくありません。
気づくことから始める
浅い呼吸は、意志の弱さではありません。
現代の働き方が、そうなりやすい環境になっているだけです。
だからこそ、意識して整える時間をつくる事が大切になります。
一時間に一度、椅子から立ち上がる。
窓を開けて、空気を入れかえる。
背筋を伸ばして、ゆっくりと息を吐く。
どれも数十秒で、できることばかりです。
その積み重ねが、一日の終わりの疲れ方を変えていきます。
